今、話題の5G(第5世代移動通信システム)。インターネット通信速度が高速、低遅延などの特徴やメリットを耳にする一方、多くの方が現在利用中の4G・LTE通信のサービスとの違いはどんな点で、具体的にどの程度違うのでしょうか?
このページでは、1Gから始まるデータ通信技術の変化も含めて5Gと4Gの違いについて解説、各キャリアの5Gへの対応状況や、4GやLTEと比較した5Gの特徴やメリットをまとめて紹介します。
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5Gと4G・LTEの違いを徹底解説
日本では2020年から5G(第5世代移動通信システム)の通信サービスが開始されましたが、5G対応エリアや5G対応端末は限定的で、現在も4G・LTE通信を利用する方が多いのが実状です。早く5Gに切り替えるべきか、4G・LTEと比較してどの程度高速なインターネット通信が可能なのか、5Gと4GやLTEの違いを徹底解説します。
1Gから2G・3G・4G・5Gへ~通信速度の向上や技術の進化について
5GのGは“Generation”の頭文字で、第5世代の通信システムという意味。現在、多くの方が利用中の4G・LTE通信は第4世代の通信システムで、1Gに始まり、2G・3G・LTE(3.9G)・4G・5Gと通信技術が進化、同時に通信速度も向上しています。各世代の通信規格の特徴や対応速度についてのまとめが以下の表です。
通信方式 | サービス提供開始 | 特徴 |
---|---|---|
1G | 1979年 | アナログ方式のHiCAPやTACSなどの通信規格 |
2G | 1993年 | デジタル方式のPDCやcdmaOneなどの通信規格 |
3G | 2001年 | 約14Mbpsの通信速度 |
LTE(3.9G) | 2010年 | 50Mbps以上の通信速度 |
4G | 2013年 | 100Mbps以上の通信速度 |
5G | 2020年 | 10Gbps以上の通信速度 |
1979年に移動電話の商用サービスとして提供が開始された1Gから、約40年かけて5Gへと移動中のデータ通信システムやその通信技術が進化しました。またこの通信技術の進化で通信速度が大幅に向上、各世代の通信システムには通信速度に大きな違いがあります。
2013年開始の4Gサービスと比較して5Gは2020年から始まったばかり
特に5Gと4G・LTEを比較すると、2013年に開始された4Gサービスと比較して、5Gは2020年から始まったばかりのサービスの点が重要な違いの1つで、サービス提供期間の長い4Gに対応した基地局や端末よりも5G対応の基地局や端末はまだ少なく、通信技術面で5Gは4Gと比較して優れていても普及には一定の期間が必要です。
5Gと4GやLTEの最大の違いは通信回線の速度と電波の周波数
5Gと4GやLTEの比較で最大の違いが通信回線の速度。一般的な4G・LTEの通信速度が下り最大150Mbps~200Mbps程度なのと比較して、5Gの通信速度は下り最大2Gbps(2,000Mbps)以上で提供されている点が違いで、4G・LTEと比較して5Gは10倍~20倍程度に高速化しています。
また5Gと4Gの通信速度の違いを実現しているのが各通信規格で利用する電波の周波数帯域。5Gで使用する電波の周波数帯域幅は4G・LTEと比較して広いため、より高速・大容量のサービスを実現可能です。
ドコモ・ソフトバンク・au各キャリアの4G・5G回線の対応速度の違い
ドコモ・ソフトバンク・auの各キャリアが提供する4G・LTE対応端末や5G対応端末の速度スペックから4Gと5G回線の対応速度の違いを比較しました。4G回線の速度は各社発表の実効速度(実測速度)、5G回線の速度はサービス開始時の理論値で、10倍~20倍の速度の違いがあります。
キャリア | 4G・LTEの下り最大速度 | 5Gの下り最大速度 |
---|---|---|
ドコモ(Docomo) | 168Mbps~299Mbps | 3.4Gbps(3,400Mbps) |
ソフトバンク(SoftBank) | 97Mbps~172Mbps | 2.4Gbps(2,400Mbps) |
au | 93Mbps~161Mbps | 3.4Gbps(3,400Mbps) |
4Gと5Gで使用する周波数帯域の違い

(出典:https://www.nttdocomo.co.jp/area/5g/)
4G・LTE通信では700~900MHzや3.5GHz帯の周波数の電波を使用するのと比較して、5G通信では3.6~6GHz帯(sub6)や28GHz帯(ミリ波)の電波を使用する点が違いで、4G LTE通信と比較して5Gで使用可能な電波の周波数の帯域幅が広い点も違いです。
一方、5Gで使用する高周波数帯域の電波は高速通信が可能ですが、4G・LTEの電波と比較して電波が遠くまで届きにくい違いがあり、その対策として数多くの基地局が必要な点が5G通信のデメリットです。
5G基地局はまだ少なく、4G・LTE対応エリアが圧倒的に広い点も違い
5Gで使用する高周波数の電波は遠くまで飛びづらく多数の基地局が必要な一方、2020年現在はまだ少なく、比較して対応基地局の多い4G・LTEの方が対応エリアが圧倒的に広い点も違いです。ドコモ・ソフトバンク・au各社の5G対応基地局の展開予定を確認しても、5Gサービスの普及にはまだ時間がかかりそうです。
ドコモ・ソフトバンク・au各社の4G・5G回線対応基地局数の比較と普及予定
現時点ではドコモ・ソフトバンク・auの各キャリアの5G回線対応基地局数は非常に少なく、4G対応基地局数と比較すると大きな違いがあります。また各社の今後の5G基地局の展開予定を確認しても2022年3月末に数万局と、現在の4G・LTEと同程度の対応エリアまで普及するのは2023年以降との見通しもあります。
キャリア | 4G・LTE対応基地局数 | 5G対応基地局数 |
---|---|---|
ドコモ(Docomo) | 約23万局 | 2022年3月末までに2万局 |
ソフトバンク(SoftBank) | 約16万局 | 2022年3月末までに5万局 |
au | 約16万局 | 2022年3月末までに5万局 |
※4G・LTE対応基地局数は「令和元年度・携帯電話及び全国BWAに係る電波の利用状況調査」、また5G対応基地局数の予測は各キャリア最新の発表内容による。
5G通信利用には専用の携帯・スマホ端末が必要で、料金が高い点も4Gとの違い
また利用者からは5Gのサービスは4G・LTEと比較して利用料金が高い点も違い。まず5G通信の利用には5Gに対応した専用の携帯電話やスマホ、ポケットWiFiルーター端末が必要で、これらの購入が必要です。機種により端末価格は違いますが、数万円の購入費用が必要な点は5Gへ乗り換えづらい理由の1つです。
さらにドコモ・ソフトバンク・au各社ともに5G専用プランがあり、5G対応端末の利用には料金プランの変更も必要で、一部4G・LTEのプランから月額料金が値上げされる場合もあります。
5G(第5世代移動通信システム)の仕組みや特徴は?
以上、5Gと4G・LTE通信の仕組みの違いを紹介しました。4G・LTEと比較して大幅に技術面で進化した5G(第5世代移動通信システム)ですが、主な特徴は以下の3点と言えます。5Gの各特徴について、4G・LTEとの違いも含めて詳しく紹介します。
- 高速・大容量
- 高信頼・低遅延
- 多数同時接続
4Gと比較して高速大容量のインターネット通信が可能な点がメリット
5Gと4G・LTEの最大の違いで触れた通り、5Gの特徴が4Gと比較して高速なインターネット通信。現時点で5Gサービスの下り最大通信速度は2~4Gbpsですが、試験的な取り組みでは20Gbps以上の速度が実現されており、今後の設備状況次第でさらなる速度向上も期待できます。
また4G・LTE通信では1分かかった動画のダウンロードが、通信速度が10倍~20倍に向上する5Gでは数秒以内に完了するなど、より大容量のインターネット通信がストレス無く可能になる点も5Gと4G・LTEの違いです。
高信頼・低遅延(リアルタイム性)も5G通信活用のメリット
通信速度が5Gと比較して遅い4G・LTE通信の場合は、僅かな通信の遅延・タイムラグがあるのに対して、5Gの場合は低遅延が特徴でリアルタイム性が向上する点もメリット。この5Gの高信頼・低遅延は、ネットワーク経由でリアルタイムの通信・操作が必要な自動車の自動運転や遠隔医療に欠かせない特徴で、5Gの活用により、これらのサービスの普及も期待できます。
IoT機器などに欠かせない多数同時接続が可能
4G・LTE対応の基地局と比較して、5G対応の基地局は同時に多数の端末と接続できる点も違い。同時接続できる端末台数が限られる4G・LTEの場合、IoT(Internet of Things)機器などインターネット通信が可能な端末・デバイスが増えると、通信が混雑し、遅延などの問題を引き起こす可能性があります。
一方、より多数の機器と同時に接続可能な5G対応の基地局が増えれば、IoT家電やさまざまなインターネット接続デバイスが利用可能になると期待でき、5Gの普及はIoTの普及にも欠かせないと言えます。
以上、2020年から本格的にサービスが開始された5G通信について、その仕組みや特徴、4G・LTEとの違いについて紹介しました。
現時点でまだ5G対応エリアは東京都内の一部エリアなど限定的ですが、5G対応のスマホやポケットWiFiがすでに発売されています。4Gと5Gの通信速度の違いを実感したい場合は、5G対応ポケットWiFiの利用もおすすめです。最新情報を下記記事で紹介しています。ぜひご確認ください!
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